日本企業の多くが新規事業開発の必要性を痛感している一方で、成功に至るケースは依然として少数にとどまっています。パーソル総合研究所の調査によると、新規事業開発に「成功している」と答えた企業はわずか30.6%。
この結果は、アイデアや資金よりも「人材」にこそ最大のボトルネックが存在することを示唆しています。新規事業は、既存事業とは異なる不確実性・スピード・柔軟性が求められる領域であり、それに適応できる人材をいかに見出し、育成し、定着させるかが成功の鍵を握ります。
近年注目されているのが「タレントマネジメント」という概念です。これは、人材を単なるリソースとしてではなく、企業の競争優位を生み出す戦略的資産として位置づけ、採用から育成・評価・報酬までを統合的に設計する考え方です。特に新規事業開発では、創造性・実行力・レジリエンスといった特殊な能力を持つ「イノベーター型人材」の発掘と活用が不可欠です。
本記事では、最新の調査データと国内外の成功事例をもとに、新規事業開発におけるタレントマネジメント戦略の全体像を解説します。企業内起業家(イントレプレナー)に求められるスキルや、社内外からイノベーション人材を獲得する方法、心理的安全性を高める環境づくり、そして従来の枠を超えた評価・報酬制度の構築まで、実践的なアプローチを紹介します。
イノベーションを動かすのは人材:なぜ新規事業にタレントマネジメントが必要なのか

新規事業の成功を左右する最大の要因は、資金や技術よりも「人材」です。パーソル総合研究所の調査によると、従業員300名以上の企業のうち新規事業に「成功している」と答えたのはわずか30.6%にとどまります。一方で、課題として最も多く挙げられたのが「新規事業開発人材の確保」と「知識・ノウハウ不足」です。つまり、企業の多くが「何をつくるか」よりも「誰がつくるか」でつまずいているのです。
近年、こうした状況を打破する戦略として注目されているのが「タレントマネジメント」です。これは人材を単なるリソースではなく、企業の競争優位を生む戦略的資本として捉える考え方です。新規事業では、既存の組織文化や人事制度の中で評価されにくい「探索型人材」をいかに発掘・育成・活用するかが重要になります。
既存事業の「エース人材」は効率性と安定性を重視する一方で、新規事業では不確実性に耐え、仮説検証を繰り返す柔軟性と学習意欲が求められます。重要なのは、同じ企業内であっても成功する人材の「OS(思考の基盤)」がまったく異なるということです。
スタンフォード大学の研究では、イノベーションを推進する企業は「失敗から学ぶ文化」を組織的に支援しており、心理的安全性が高いチームほど創造的な成果を上げやすいことが示されています。また、企業のタレントマネジメントには「発掘」「育成」「配置」「評価」「定着」という5つの段階があります。
これらを既存事業と同じ基準で運用してしまうと、挑戦的な人材が埋もれ、イノベーションが停滞します。たとえばGoogleは、20%ルールによって社員が自主的に新しいプロジェクトに取り組む時間を確保することで、GmailやAdSenseといった新規事業を生み出しました。優秀な人材を“管理する”のではなく、“解放する”仕組みこそが革新を生むのです。
さらに、日本企業ではHR部門が「管理部門」から「戦略的パートナー」へと役割を転換することが求められています。経済産業省も「人材版伊藤レポート」で、企業の持続的成長には人的資本経営が不可欠であると明言しています。タレントマネジメントは単なる人事システムではなく、イノベーション戦略そのものを支える基盤なのです。
企業内イノベーターの特性:成功するイントレプレナーに共通する資質と行動特性
新規事業を推進する企業内人材、いわゆる「イントレプレナー(社内起業家)」には、既存事業の優秀なマネージャーとは異なる独自の能力が求められます。彼らは、限られたリソースの中でゼロから事業を構築し、社内外のステークホルダーを巻き込みながら成果を出す変革の触媒です。
イントレプレナーに共通する主な資質
| 分類 | 特徴 | 行動例 |
|---|---|---|
| マインドセット | 学習志向性・柔軟性 | 失敗から積極的に学び、前提を疑う |
| 実行力 | 推進力・分析的思考 | データに基づき、試行を繰り返す |
| 対人影響力 | 巻き込み力・交渉力 | 他部署・経営層を説得して協力を得る |
| レジリエンス | 精神的耐性 | 社内の抵抗を受けても挑戦を続ける |
特に重要なのは、「探索」と「深化」のバランスを取る力です。ハーバード・ビジネス・レビューによると、成功するイントレプレナーは既存事業の資産(ブランド・資金・ネットワーク)を活用しながらも、未知の市場に挑戦する柔軟性を持っています。
また、リクルートの「Ring」制度のように、社内から新規事業提案を募る取り組みでは、応募自体が社員の挑戦意欲を測る有効な指標となっています。応募者は必ずしも採択されなくとも、イノベーション適性を持つ「社内の原石」として人材プールに登録され、将来のプロジェクトで登用されるケースもあります。社内公募は人材評価の仕組みであると同時に、学習と動機づけの場でもあるのです。
さらに、イントレプレナーには「翻訳者」としての役割も求められます。新規事業チームと本社の経営層の間で、スタートアップ的なスピード感と企業的なガバナンスのバランスを取るためです。メルカリの新規事業担当者は、経営層メンター制度を通じて意思決定のスピードを上げ、挑戦と統制を両立させています。
このように、イントレプレナーは単なるアイデアの発案者ではなく、組織変革を牽引するリーダーです。企業は彼らを特別な例外人材として扱うのではなく、計画的に発掘し、育成し、活躍できる環境を整えることが求められます。
戦略的ソーシング:社内公募と越境学習で眠れる人材を掘り起こす

新規事業に適した人材は、外部にだけ存在するとは限りません。多くの企業が見落としているのは、自社の中に埋もれた“未開花のイノベーター”です。彼らを発掘し、挑戦の機会を与えることができれば、新規事業の成功確率は大きく向上します。
近年注目されているのが、社内公募制度と越境学習の活用です。パーソル総合研究所の調査では、新規事業開発を進める上で「社内公募制度を活用している」と回答した企業は38.9%に上り、導入企業の多くが「社内の挑戦意欲向上」や「人材可視化」を実感しています。
社内公募制度:潜在的イントレプレナーの発掘
社内公募制度は、自らの意思で新規事業に挑戦したい社員を募る仕組みであり、単なるアイデア募集ではなく人材発掘の場です。応募の行為そのものが、当人の「探索志向性」や「リスク許容度」の高さを示しています。
成功事例としてよく知られるのが、リクルートの「Ring」です。全社員が自由にアイデアを提案できるこの制度から、『ゼクシィ』『ホットペッパー』などの主力事業が誕生しました。特徴は、アイデアの段階に応じて支援を強化する「ステージゲート方式」を採用している点です。これにより、初期リスクを抑えつつも、有望なプロジェクトには資金や人材を集中投入することができます。
また、ソニーの「Startup Acceleration Program(SSAP)」は、社員のアイデアを事業化に導く体系的な支援フレームを構築しています。SSAPでは、事業立ち上げのノウハウをプログラム化し、社外企業への提供も行うほど高い完成度を誇ります。社内制度の枠を超え、事業開発そのものを“仕組み化”した点にこそ、ソニーの強みがあります。
| 企業名 | プログラム名 | 特徴 | 成果事例 |
|---|---|---|---|
| リクルート | Ring | 全社員参加型、段階的資金提供 | ゼクシィ、ホットペッパー |
| ソニー | SSAP | 体系的伴走支援、外販化も実施 | Fashion Entertainments |
| パナソニック | Game Changer Catapult | 社内起業後のスピンアウト支援 | 独立事業多数 |
| ホンダ | IGNITION | カーブアウト型新規事業制度 | あしらせ(歩行ナビ) |
越境学習:異なる環境で“挑戦耐性”を鍛える
もう一つの有効なアプローチが「越境学習」です。これは、社員を異業種・スタートアップ・NPOなどの全く異なる環境に一定期間派遣し、イノベーションに必要な柔軟性や創造性を鍛える仕組みです。
経済産業省もこの手法を推進しており、2024年時点で全国100社以上が導入しています。たとえば、ハウス食品の研究者がインドネシア企業へ“留職”し、現地の社会課題に取り組んだ結果、帰任後に自社で社会貢献型事業を立ち上げた事例があります。カゴメが実施したポーラとの交換研修も有名で、異業界の視点を学ぶことで、既存ビジネスの枠を超える発想を生み出しました。
越境学習の効果は「能力育成」にとどまりません。6カ月ほどの外部派遣は、社員の新規事業適性を評価する“試用フェーズ”としても機能します。本人のキャリア志向や成長欲求を確認しつつ、企業側もリスクを抑えて挑戦機会を提供できるのです。
社内公募と越境学習は、どちらも「挑戦する社員を見える化する仕組み」として連動させることで、企業内のイノベーション人材パイプラインを強固にします。
心理的安全性とメンター文化:イノベーション人材が成長する組織環境とは
優れた人材を採用しても、挑戦できる環境が整っていなければ、イノベーションは生まれません。創造性を最大化するには、社員が安心して意見を出し合い、失敗から学べる「心理的安全性」を持つ文化と、それを支えるメンター制度の両輪が不可欠です。
心理的安全性:挑戦を支える土台
ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した「心理的安全性」は、チームメンバーが対人リスクを取っても安全であると感じる状態を指します。Googleが実施した大規模研究「Project Aristotle」でも、高業績チームの最大の共通点は心理的安全性の高さでした。
心理的安全性を高めるためには、以下の4つの要素が重要です。
- 話しやすさ(発言のしやすい雰囲気)
- 助け合い(メンバー間の協力意識)
- 挑戦(新しい試みを奨励する姿勢)
- 新奇歓迎(異なる意見や発想を受け入れる柔軟性)
これらはリーダーの態度によって大きく左右されます。上司が自ら失敗を共有し、メンバーの意見を遮らずに傾聴することで、チーム全体の心理的安全性は飛躍的に向上します。
メンター制度:孤独な挑戦を支える伴走者
新規事業担当者は、社内政治や成果プレッシャーにさらされ、孤立しやすい立場にあります。そのため、メンター制度は挑戦を持続させる“心理的支柱”として機能します。
メルカリでは、経営陣が若手社員のメンターとなる制度を導入し、戦略的思考や意思決定スピードを直接伝授しています。これにより、メンティーは「経営視点」を早期に身につけ、自信を持って新規事業を推進できるようになります。
また、丸井グループのように「失敗を許容する文化」を人事制度として明文化している企業もあります。そこでは、挑戦回数そのものを評価指標とし、失敗を“知的な学び”と位置づける風土が根づいています。
心理的安全性、メンター制度、そして失敗を称える文化は互いに補完し合います。メンターが過去の失敗を語ることでチームの安心感を生み、心理的安全性が高まることで挑戦が増え、挑戦が増えるほど学びが深まる。こうした循環構造こそが、企業を持続的に成長させる「イノベーションエコシステム」を形成するのです。
新規事業のための評価と報酬設計:KPIからOKRへのパラダイムシフト

多くの企業で、新規事業が育たない原因の一つが「評価制度のミスマッチ」です。既存事業の評価基準をそのまま適用してしまうと、挑戦よりも安定を選ぶ文化が生まれ、革新が阻害されます。パーソル総合研究所の調査では、新規事業の担当者が抱える課題の上位に「評価制度が新規事業に適していない」が挙げられています。
新規事業は、短期的な売上や利益を追う既存事業とは異なり、学習と検証を通じて将来の可能性を育てるプロセスです。したがって、評価軸も「どれだけ早く・深く学んだか」という学習指標型KPIへと転換する必要があります。
KPIの限界とOKRの有効性
従来のKPI(Key Performance Indicator)は、成果を数値で管理することに適していますが、予測不能な新規事業の現場では機能しにくいという欠点があります。一方、GoogleやIntelなどが採用するOKR(Objectives and Key Results)は、挑戦的な目標を掲げ、達成率60〜70%を成功とみなす柔軟なフレームワークです。
OKRの利点は、以下の3点に集約されます。
- 活動(Activity)ではなく成果(Outcome)に焦点を当てる
- 目標の透明性が高く、チーム全体で方向性を共有できる
- 達成率よりも成長・学習を重視し、挑戦を促す文化を醸成する
重要なのは、OKRを給与や賞与と直接結びつけないことです。連動させると、従業員は「安全な目標」を選ぶようになり、挑戦する意欲が削がれます。OKRは報酬制度ではなく、イノベーションを加速させる“コンパス”として活用すべきなのです。
企業事例に見る新しい評価制度
カルビーは「ノーレイティング」制度を導入し、従来のランク付けを廃止しました。上司と部下が継続的に対話し、プロセスと成長を重視する評価へと転換しています。
また、丸井グループは「打席数(挑戦回数)」を評価指標に取り入れ、結果よりも挑戦意欲を高く評価する文化を築いています。こうした制度改革は、失敗を恐れず行動できる心理的安全性のある環境を生み、イノベーションを生む基盤となります。
| 評価項目 | 既存事業 | 新規事業 |
|---|---|---|
| 成果指標 | 売上・利益 | 学習速度・検証数 |
| 評価対象 | 結果 | プロセス |
| 評価期間 | 短期(四半期) | 中長期(半年〜数年) |
| 目的 | 効率性の最大化 | 新しい知の創出 |
このように、KPI中心の短期志向から、学習と挑戦を促すOKR型評価へ移行することで、企業はイノベーションのスピードと持続力を高めることができます。評価制度は、成果を測る「物差し」ではなく、挑戦を支える「仕組み」へと再定義されるべき時代に入っています。
人事部門の進化:管理から戦略的パートナーへ
新規事業開発を成功に導く上で、もはや人事部門は「裏方」ではありません。経済産業省が提唱する「人的資本経営」でも、人事は企業の成長戦略を支える中核的機能と位置づけられています。人事が戦略的パートナーとして事業に関与できるかどうかが、イノベーション成功の分水嶺です。
戦略的HRへの転換
従来の人事部門は、勤怠管理や労務といったオペレーション中心の役割を担ってきました。しかし、今後求められるのは「イノベーションを生み出す組織設計者」としての機能です。
パーソル総合研究所の研究では、HRが新規事業チームと密に連携している企業ほど、事業成功率が高い傾向が明らかになっています。これは、HRが採用・育成・評価・報酬の全体設計を通じて、イノベーションに必要な「探索型人材の生態系」を形成しているためです。
HRが果たすべき3つの新たな役割
- イノベーションの大使
新規事業に適した文化や制度を、既存組織に正しく説明し、理解を得る橋渡し役。 - 緩衝材としての守護者
既存事業部門が新規事業の挑戦を妨げないよう、評価制度やリソース配分の面で独立性を担保する役割。 - データ駆動型の意思決定者
タレントマネジメントシステムを活用し、スキルデータやキャリア志向を分析。科学的根拠に基づく配置と育成を実現する。
実践事例と今後の展望
ソニーは「個の挑戦を最大化する人事戦略」を掲げ、社員一人ひとりのスキルや志向性を可視化。AIを用いたマッチングによって、新規プロジェクトへの最適配属を行っています。日産自動車では、データ分析を通じて次世代リーダー候補を特定し、早期育成を進めています。
こうしたデータ駆動型HRは、直感や経験に頼らない戦略的人材配置を可能にし、「探索(新規事業)」と「深化(既存事業)」を両立する両利きの経営を支える中枢機能となっています。
人事が管理の枠を超えて戦略設計者となるとき、企業は初めて“人を起点とするイノベーション”を持続的に生み出せる組織へと進化します。新規事業の成否は、アイデアよりも「人をどう動かすか」にかかっているのです。
データで導く人材戦略:タレントマネジメントシステムの実践と未来
新規事業開発における最大の課題は、「人材の見えない化」にあります。誰がどのスキルを持ち、どの領域で活躍できるのかを把握できなければ、適材適所の配置も育成も不可能です。こうした課題を解決する鍵として、近年急速に注目を集めているのが「タレントマネジメントシステム(TMS)」です。経済産業省による調査でも、人的資本経営を実践する企業の約7割が、データに基づく人材可視化を推進していると報告されています。
タレントマネジメントシステムとは、社員のスキル・キャリア志向・評価履歴・教育履歴などのデータを一元管理し、組織の人材戦略に活用する仕組みです。特に新規事業では、既存評価で見落とされがちな「潜在的な挑戦力」や「越境意欲」をデータとして捉えることが重要になります。
データ駆動型人事の効果と実践手法
データ活用による人材戦略のメリットは、以下の3点に集約されます。
- 社員一人ひとりのスキル・志向を可視化し、プロジェクト適正を迅速に判断できる
- 適切な配置・異動を通じて、新規事業への人材流動を促進できる
- 育成・評価データを連動させ、組織全体のイノベーション力を定量的に測定できる
たとえば、富士通は「Skill Palette」と呼ばれる独自システムを導入し、社員が保有スキルを自ら登録・更新する仕組みを構築しました。この情報はAIによって解析され、新規事業プロジェクトのマッチングにも活用されています。結果として、社内からの新規事業提案件数が導入前の2.5倍に増加するなど、データ活用が社員の挑戦意欲を引き出す効果が確認されています。
| 導入企業 | 活用目的 | 主な成果 |
|---|---|---|
| 富士通 | スキル可視化・人材マッチング | 提案件数2.5倍・異動効率化 |
| ソニー | キャリア志向データ分析 | 新規事業配属の精度向上 |
| パナソニック | タレントプール構築 | 新規事業リーダー育成率向上 |
| 日立製作所 | データ連携型研修管理 | イノベーション研修効果の定量化 |
AIとアナリティクスがもたらす次世代の人材戦略
近年では、AIと機械学習の活用によって、タレントマネジメントが次の段階へ進化しています。たとえば、米国の大手企業では、従業員の業務履歴やコミュニケーションパターンを分析し、「イノベーション適性」や「離職リスク」を予測するアルゴリズムが実用化されています。
日本国内でも、NECや楽天がAI分析を用いて人材配置や研修設計を最適化しており、人的資本データを経営判断に組み込む動きが広がっています。この流れの中心にあるのが「People Analytics(ピープルアナリティクス)」です。これは人事データだけでなく、組織行動・プロジェクト実績・エンゲージメントなど多様な情報を統合し、科学的に人と組織の関係を分析する手法です。
Googleが「Project Oxygen」で行った研究では、優れたマネージャーの行動特性をデータから導き出し、リーダー育成プログラムに反映した結果、社員満足度と生産性が大幅に向上したと報告されています。
タレントマネジメントの未来:人の可能性を“資本”として捉える
これからの新規事業開発において、タレントマネジメントは単なる人材管理ツールではなく、「人的資本経営」を実現する中核装置へと進化します。特に、経営層がデータに基づいて人材ポートフォリオを可視化し、どの領域にどんなスキルを再配置すべきかを意思決定できるようになることが重要です。
また、社員側も自らのスキルを更新し、社内で「自分の市場価値」を可視化できるようになることで、キャリア形成に主体性が生まれます。こうした双方向の透明性が高まるほど、組織は挑戦する文化を維持しやすくなり、新規事業開発の速度も加速します。
データに基づくタレントマネジメントは、企業の未来を左右する戦略投資です。AI、アナリティクス、心理的安全性という3つの軸を融合させながら、人とデータを掛け合わせた“次世代の人材戦略”が、これからのイノベーションを支える原動力になるのです。
